タイトル
「人生の約束」
プロローグ
会社の拡大にしか興味の無いIT関連企業CEO(最高経営責任者)
中原祐馬の携帯に、ここ数日かつての親友から
何度も着信がありました。
それは共に起業して、会社を二人三脚で成長させながらも
会社を追い出す形で決別した、かつての親友・塩谷航平からのものでした。
電話を疎く思う反面、胸騒ぎを覚えた祐馬は
仕事の予定をキャンセルして航平の故郷に向かいます。
そこで祐馬が直面したのは、予期せぬ親友の死でした――。
事態を飲み込めないまま線香をあげようとするも、
航平の義兄・鉄也は会社から追い出したあげく、航平からの
電話を無視し続けた祐馬を許すことができず罵倒します。
そして町内会長を務める西村玄太郎に話を聞くと、病に
冒され余命わずかだった航平は、最後に曳山につながりたい
(祭りに参加して曳山(山車)を曳くことを「つながる」と呼ぶ)と
故郷である四十物町(あいものちょう)の土を踏んでいたのです。
祐馬は航平の忘れ形見の娘・瞳に、
「西町から四十物町の曳山を取り返してほしい」
と依頼されます。
瞳との約束を果たすため新湊に向かうと、
そこでは祭りがすぐ間近に迫っていました…。