タイトル
「みなさん、さようなら」
プロローグ
“僕は一生、団地の中だけで生きていく。”
12歳の春、悟(さとる)の一大決心は、
母の日奈を始め、周囲を仰天させます。
賑やかな団地には、肉屋から魚屋、理髪店、衣料品店など
何でも揃っています。
外出する用事は、団地の敷地内だけで充分。
初恋も、親友も、何だって団地の中だけで
済ませることができます。
団地の中のケーキ屋に就職し、同級生の早紀と婚約。
そんな生活を、謳歌してゆく悟でしたが
いつしか団地で暮らす友人たちは
1人、また1人と悟の前から去ってゆくのです。
本当はみんな知っている。なぜ悟が団地から出ないのか。
果たして、悟が団地から出なくなった本当の理由とは
何なのでしょうか?
また、彼が団地の外に
一歩踏み出す日は来るのでしょうか……?