タイトル
「めぐり逢わせのお弁当」
プロローグ
インド・ムンバイで、夫と娘と暮らすイラは、
腕によりをかけた料理で、夫の冷めた心を取り戻そうと
特製弁当を作っていました。
特にその日は、近所に住むおばさんの“料理は愛を深める”
というアドバイスに従い
スパイスを隠し味にし、4段重ねのお弁当を
ダッバーワーラーにたくします。
ところが、そのお弁当は見ず知らずのサージャンの元に
届いてしまいます。
サージャンは、妻に先立たれ早期退職を控えていました。
昼食といえば、近所の食堂か仕出し弁当を一人で食べる
という毎日。
そんなことも知らず、やがて空っぽになったお弁当箱が戻り
作戦成功を喜ぶイラ。
それも束の間、帰宅した夫との会話から
お弁当が間違って配達されたことに気づきます。
しかしイラは、謎を解くためにあくる日も
「きれいに食べてくれたお礼にパニールを作った」と
したため手紙を忍ばせて、お弁当を送り出すのです。
こうしてお弁当を介して、二人の手紙のやり取りがはじまり
それがお互いの、心の支えとなっていくのです。