タイトル
「蜩ノ記」
プロローグ
前代未聞の事件をおこした罪で
10年後の夏に切腹すること、またその切腹の日までに
藩の歴史である「家譜(かふ)」を完成させるよう命じられた
戸田秋谷(とだ しゅうこく)。
その切腹の日は、3年後に迫っていました。
ある日、檀野庄三郎(だんの しょうざぶろう)は
刀傷沙汰を起こした罪を免ずるかわりに
家老から「秋谷(しゅうこく)を監視せよ」という
藩命を受けます。
戸田家を訪れた庄三郎は、秋谷の妻・織江、娘・薫(かおる)、
息子・郁太郎(いくたろう)と生活し始めるのです。
切腹という運命が待っているにも関わらず
一日一日を大切に、淡々と家譜づくりに勤しむ秋谷。
そんな夫を支える妻・織江。
両親の背中を見ながら、強い心で生きようとする薫と郁太郎。
その家族の姿に、感銘を受けた庄三郎は
秋谷が起こしたという事件に、疑問を抱き
彼を救うべく、真相を探りはじめるのです・・・。