タイトル
「紙の月」
プロローグ
バブルがはじけて間もない1994年
銀行の契約社員として働く
平凡な主婦・梅沢梨花(うめざわりか)は
顧客や上司からも信頼され、高い評価を得ていました。
一方で、自分への関心が薄い夫との間には
空虚感が漂い始め、寂しさを感じていました。
そんな時、顧客の孫で、年下の大学生・光太と出会います。
彼とは、年が離れているにも関わらず意気投合し
何かに導かれるように、恋に落ちていきます・・・。
ある夜、ふと立ち寄った百貨店の化粧品売り場で
支払い時に、カードも無く
現金も足りないことに気づいた梨花が手を出したのは
顧客からの、預かり金の一部である一万円。
銀行に戻る前に、すぐに戻しましたが
これがすべての始まりでした。
学費のために借金をしている、という光太に200万円、
顧客から預かった300万円を、自分の通帳に入れたり・・・。
自宅で定期預金証書のコピーを偽造するなど
横領する額は、日増しにエスカレートしていくのでした。
次第に疑いが向けられ、追い詰められた梨花の運命
彼女が選んだものとは・・・。