タイトル
「ぶどうのなみだ」
プロローグ
北海道・空知(そらち)で葡萄を育てているアオ。
彼が育てている葡萄は、ピノ・ノワールと呼ばれる品種で
ワインの醸造を、繰り返していますが
なかなか思い通りのワインは出来ません。
また、その弟・ロクは
父が残した小麦畑を受け継ぎ、家と畑を守っていました。
そんなある日、キャンピングカーに乗った
ひとりの女性・エリカが現れます。
彼女は、葡萄畑の近くに、大きなスコップで穴を掘り始めたり
どこからやってきたのかも分からず、謎だらけ・・・。
しかし、おいしい料理を作り
誰よりも、おいしそうにワインを飲む彼女は
いつしか町の人々に溶け込み、アオとロクの静かな生活にも
新しい風を吹き込んでいきました。
秋も深くなり、今年も新しいワインの樽を開ける日が
やってきました。
しかし、ワインの味は、アオの理想にはほど遠く
落ち込んでしまいます。
また、エリカもアオに、一通の手紙を残し
突然、姿を消すのです。
その手紙を読み、殻に閉じこもっていたアオですが、
ある大きな決意をするのです・・・。