タイトル
「黄金のアデーレ 名画の帰還」
プロローグ
20世紀が終わる頃、ある裁判のニュースが
世界を仰天させました。
アメリカに暮らすマリア・アルトマン(82歳)が
オーストリア政府を訴えたのです。
“オーストリアのモナリザ”と称えられ、国の美術館に
飾られてきたクリムトの名画〈黄金のアデーレ〉を
「私に返してほしい」という驚きの要求でした。
伯母であるアデーレの肖像画は、第二次世界大戦中
ナチスに略奪されたもので、正当な持ち主である
自分のもとに返して欲しいというのが、彼女の主張でした。
共に立ち上がったのは、駆け出し弁護士のランディ。
対するオーストリア政府は、真っ向から反論します。
大切なものすべてを奪われ、祖国を捨てたマリアが
クリムトの名画よりも本当に取り戻したかったものとは…?